外壁と屋根の色選びのポイント〜理想的なバランスで作る美しい住まい

 

「その色、ほんとうに後悔しませんか？」

家の外観は、あなたの暮らしを映し出す“顔”のようなもの。
外壁や屋根の色は、ただ家を彩るだけでなく、街並みやご家族の暮らしにしっくりと馴染むことが大切です。

けれど、「イメージと違った…」「周囲から浮いてしまった…」そんな後悔の声も少なくありません。

せっかくの塗り替え、失敗は避けたいですよね。
そこで今回は、これまでたくさんの色選びをお手伝いしてきたカラーアドバイザーの視点から、“納得のいく外観づくり”のコツをわかりやすくご紹介します。

 

色選びの基本〜外壁と屋根のバランスを考える

色選びは、家の外観における最も重要な要素の一つです。

外壁と屋根の色の組み合わせは、家全体の印象を大きく左右します。

色を選ぶ際に押さえておくべき基本的なポイントを、カラーアドバイザーとしてさらに詳しく解説します。

1. 色のバランスを意識する

色選びの際には、外壁と屋根の色のバランスが非常に重要です。

色の組み合わせによって、家の雰囲気や印象が大きく変わります。

例えば、屋根と外壁が同じ色調で統一感を出す方法もあれば、あえてコントラストを効かせて、屋根と外壁に違う色を選ぶ方法もあります。

色のバランスが取れていないと、家全体がまとまりを欠いて見えることがあります。

 

例えば、屋根が非常に明るい色で外壁が非常に暗い色の場合、不安定で浮いている印象を与えることがあります。

一方で、屋根と外壁の色が似たような色でまとめると、安定感と落ち着きを感じさせることができます。

統一感を持たせたい場合: 例えば、ナチュラルなベージュ系の外壁にダークブラウン系の屋根を選ぶと、安定感があり、落ち着いた印象を与えます。

アクセントを効かせたい場合: 明るい色の外壁にダークな屋根を選ぶことで、コントラストを引き立て、個性的でモダンな印象を作ることができます。

 

2. 色のトーンを合わせる

トーン（色調）も色選びには非常に大切な要素です。

色のトーンが違うと、たとえ同じ色系統であっても、不調和を感じてしまうことがあります。

例えば、外壁に明るい暖色系の色を使用し、屋根に冷たいトーンの色を選ぶと、バランスが取りにくくなります。

 

暖色系（ベージュ系、オレンジ系、黄色系）

 

 

 

 

 

暖色系の色調は、温かみを感じさせるので、周囲の自然や庭と調和しやすいです。

 

寒色系（青系、緑系、グレー系）

寒色系の色調は、クールで洗練された印象を与え、特に都会的なデザインに適しています。

できるだけ色調を合わせることが、家全体を落ち着いて見せるポイントです。

例えば、グレー系の外壁に、少し暗めのグリーン系屋根など、トーンを合わせることで調和感が生まれます。

 

3. 周囲の環境との調和を考える

色選びにおいて重要なのが、周囲の環境との調和です。

周囲の建物や自然環境を無視して色を選んでしまうと、家が浮いて見えたり、周囲と調和しない印象を与えることがあります。

自然環境：もし、周囲に多くの植物がある場所に家を建てる場合、自然の緑と調和する色を選ぶと、家が自然に溶け込むように見えます。

例えば、グリーン系やベージュ系の色を選ぶことで、庭や植栽と調和します。

周囲の住宅と調和する: 同じ住宅街に建つ家々と調和を取りたい場合は、あまりにも目立つ色は避け、周囲の家々の色調に合わせることで、地域に溶け込む外観に仕上げることができます。

また、海辺の家や山間部の家では、周囲の景観を引き立てるために、自然の色（青、緑、茶色など）を取り入れると、より一層魅力的に見えます。

 

4. ライフスタイルや個人の好みに合わせる

色選びは、ライフスタイルや住む人の個性にも大きく影響します。

自分や家族の好みを反映させることは、家を選ぶ楽しさの一つでもあります。

たとえば、家族全員が落ち着いた空間を望んでいる場合、暖色系や自然色でまとめると、安らげる空間になります。

暖色系（オレンジや黄色、ベージュなど）は、家庭的で温かい印象を与えるため、家族との交流が多い家庭にぴったりです。

クールでスタイリッシュな印象を求める場合は、グレーやダークブルー、ブラック系の色を選ぶと、都会的で洗練された印象に仕上がります。

外壁と屋根の色を選ぶときには、自分や家族がどんなライフスタイルを送っているのか、どんな印象を家に求めているのかを考慮し、その後、色を選ぶとよりパーソナルで満足度の高い家に仕上がります。

 

5. 色の持ちや耐久性を考慮する

色選びの際、色の持ちや耐久性も重要なポイントです。

特に外壁や屋根は常に外部環境にさらされるため、長期間美しさを保つことができる塗料や色選びが必要です。

明るい色は、汚れや色あせが目立ちやすいため、耐候性に優れた塗料を選ぶことが重要です。

また、ベージュやアイボリー系は、汚れが付いても目立ちにくいものの、定期的なメンテナンスが必要です。

暗い色は、汚れが目立ちにくいというメリットがありますが、太陽光の影響を受けやすいため、色あせに強い塗料を選ぶことが求められます。

耐久性を高めるために、適切な塗料を使用することは必須です。

耐候性や耐紫外線性に優れた塗料を選ぶことで、色が長持ちし、家の外観も長期間にわたって美しい状態を保ちます。

 

おすすめする外壁の色

(1) ベージュ系・アイボリー系

ベージュやアイボリーなどの暖かみのある色は、落ち着いた印象を与え、どんな環境にも自然に溶け込みます。

特に、自然な素材感を感じさせるウッドデッキやレンガなどの外観にもぴったりです。

また、暖かみがあり、周囲の緑と調和しやすいため、都会的な住宅地でも、自然豊かな郊外でもバランスよく映える色です。

この色を選んだ場合、屋根はややダークなグレーやブラウンなどの落ち着いた色合いを選ぶと、全体的に上品で安定感のある外観に仕上がります。

アイボリー系の外壁にブラウン系の屋根は、温かみがありながらも、シックで高級感を感じさせます。

 

(2) グレー系

最近人気のあるグレー系の外壁色は、シンプルで洗練された印象を与えます。

特に、都会的な雰囲気を求める方にはおすすめです。

グレーは、周囲の環境と調和しやすく、どんなインテリアにも合わせやすい色です。

クールでモダンな印象を持ちつつも、柔らかさも持ち合わせているため、高級感と落ち着きがある外観を作り上げることができます。

屋根をグレーにすることで、統一感のある洗練されたデザインが完成しますが、少しアクセントを加えたい場合は、暗いチャコールグレーやブラウン系の屋根にすることで、グレーの外壁が引き立ちます。

 

(3) ホワイト系

ホワイト系は、永遠に愛される色であり、どんな住宅にも似合います。

明るさと清潔感を持ち、外観が爽やかで広がりを感じさせます。

ただし、白い外壁は汚れが目立ちやすいという欠点もあります。

ですので、汚れが付きにくい塗料を選ぶことや、定期的なメンテナンスを心がけることが大切です。

屋根の色としては、ホワイト系の外壁に対しては、ダークカラーの屋根を選ぶと引き締まった印象を与え、逆に明るい色の屋根を選ぶと、全体が明るく、軽やかな印象になります。

 

おすすめする屋根の色

 

(1) ダークブラウン・ダークグレー

ダークブラウンやダークグレーの屋根は、特に落ち着いた外観を求める場合におすすめです。

これらの色は、外壁がどんな色であっても調和しやすく、安定感を与えます。

特に、木造住宅やナチュラルな雰囲気の家にはぴったりです。

屋根がダーク色であることで、屋根自体が目立ちすぎず、全体のバランスが取れるため、周囲との調和が取れた家に仕上がります。

もし、屋根の色に少し華やかさを加えたい場合は、グリーン系やテラコッタ系の色を選ぶと温かみが増し、外観に変化を与えられます。

 

(2) ダークグリーン・ブラウン系

ダークグリーンやブラウン系の屋根色は、特に自然との調和を大切にしたい方におすすめです。

これらの色は、落ち着きと温かみを持ち合わせており、特に庭に植えた植物や周囲の自然景観と調和します。

グリーン系の屋根は特に環境に優しい印象を与え、自然派志向の方に好まれる色です。

外壁の色としては、ホワイトやベージュなどの明るい色との組み合わせが非常に魅力的で、柔らかく調和の取れた外観を作ることができます。

 

(3) ブルー系

ブルー系の屋根は、少し個性的で、他の色とのコントラストが美しいです。

ブルーグレーやライトブルーの屋根は、開放的で爽やかな印象を与え、特に海辺の家や明るい外壁に非常に映えます。

ブルー系は、少し温かみを感じる色と組み合わせると、より落ち着いた印象になります。

例えば、ホワイト系の外壁やアイボリー系の外壁と組み合わせると、非常にリラックスした雰囲気を作り出します。

 

まとめ〜色選びのポイント

外壁や屋根の色は、まるでおうちの「洋服」のようなもの。
どんな色を選ぶかで、お住まいの印象ががらりと変わり、そこに暮らすご家族の気持ちまで明るくなることもあります。

でも、「何色が正解なんだろう？」「失敗したらどうしよう…」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか？

色選びをするときは、次のようなポイントを少し意識してみてください。

• まわりの景色と調和しているか？
  自然の風景や街並みと心地よくなじむ色は、ずっと見ていても飽きがこず、美しい外観をつくってくれます。

• ご家族の暮らしや好みに合っているか？
  明るく元気な印象にしたい、落ち着いた雰囲気にしたい…。住む人らしさが感じられる色だと、毎日がもっと楽しくなります。

• 汚れにくく、お手入れしやすいか？
  白や明るい色は清潔感がありますが、どうしても汚れが目立ちやすいもの。塗ったあとのこともイメージしながら、無理のない色を選びましょう。

外観の色は、これから長い時間を共に過ごす大切なもの。
だからこそ、焦らず、じっくり選んでくださいね。

「わが家らしいな」と感じられる色に出会えるように、色選びの時間もぜひ楽しんでくださいね。